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2007年4月29日 (日)

ことばの宇宙

丸二日、寝込んでおりました。
発熱38度、熱が下がらず
起き上がるのもしんどい状態。
インフルエンザの時でさえ
パソコンに向かい、
食事も取っていたのですが
今回は、昏々と眠り続けるだけ。
風邪も引いておらず
いやはや、弱っていたのでしょうか。

というわけで、連休前半もあと1日。
窓の外は青空と若葉。
きらきらまぶしい二日間を
病床ですごす悲しさよ。
本日夕方くらいからやっと、
熱も下がり食欲もでてきました。

明日はお友達に誘われて
楽しみにしていたバイオリンのコンサート。
この分だと大丈夫そう。
良かった良かった♪

少し前の新聞に
時実新子さんが亡くなられたという記事が。
そして、しのぶ会が行われたと。
時実新子さんといえば
世間的には「有夫恋」
の印象がつよいのでしょう。
実は私は、これを新子さんの作品と知るのは
後のこと。
「有夫恋」このタイトルのセンセーショナルな感じ
昼メロっぽい、スキャンダラスな感じ
それに乗じて売れ線を狙う
出版社の計算みたいなものも感じられ
本屋に平積みにされていた時は
見向きもしなかった。

私が新子さんの作品と
初めてであったのは
アサヒグラフの「川柳新子座」です。
毎回お題が出され、
新子さんの作品と、読者の10の投稿作品。
それに添えられる新子さんの言葉。
もともと古川柳(江戸時代の)が大好きで
川柳にも興味があったのですが、
サラリーマン川柳なる、
野暮な代物も登場し
世間では川柳イコールサラリーマン川柳みたいな風潮
そんななか、新子さんの川柳は、
目の前が切り拓かれるような思いでした。

5・7・5の中に
生きること死ぬこと、
喜びや悲しみや憎しみやおかしみ
恋愛や血の縁や友情や
たった5・7・5の中に
言葉では尽くせない
その人の人生が語られている。
5・7・5のことばの後ろっ側に
膨大に広がる宇宙。

投稿者の作品のどれも
壮絶だったり、滑稽だったり、かっこよかったり
美しかったり、初々しかったり
さまざまなストーリーが17字のなかにひろがり。
朝日新聞社から、川柳新子座として数冊の本にまとめられています。

そして、自身の作品、投稿作品、
そこに添えられた新子さんの言葉は
「生きている」言葉でした。
血の涙を流し
血の言葉を吐き
そうして、今がある、
生々しい、けれど、真実の女の姿が
そこにあるように感じました。
新子さんは例えるなら鉄。
「鉄の女」
こう表現すると、何者にも屈しない強靭な女性
というイメージなのでしょうか。
私が思う「鉄」
火の中で、火よりももっと熱く、形を変え
そして周りのものをも焼き尽くしてしまう熱を持ち
火から出ると冷たく、固く、何ものをも拒む、きっぱりと。

けれど、広いのです深いのです豊かなのです
その懐が。
だから新子さんの言葉で、ふふふって笑ってみたり
しみじみ泣けてきたり。

ここしばらくは、川柳からも離れてしまって
相変わらずのサラリーマン川柳に
あるいは、きみまろ的川柳に
けっ・・って思いながら過ごしてました。

もともと好きなのは、長編小説よりは短編。
短編よりは詩、詩よりは短歌
短歌よりは俳句。
文章は短い方が空想の世界が広がる。
言葉が少ない分
その後ろっ側にある宇宙はすごく広い。
そして、読む時々で、姿を変え形を変え
膨らみ続ける。

思えば、古川柳に興味を抱いたのが
杉浦日向子さんの読み物から。
その杉浦日向子さんも亡くなられ、
けれど、作品は残っていく。
折に触れ、
私はそれらを引っ張り出しては読みふけり
その時々の宇宙を見るのでしょう。

おっ、今日は久しぶりに文学バーっぽい。(笑)



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